日本毒性学会学術年会
第39回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-117
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過硫酸アンモニウムのラットを用いた90日間反復投与毒性試験
*今井 則夫萩原 昭裕沼野 琢旬土井 悠子玉野 静光髙橋 祐次菅野 純
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抄録
【目的】過硫酸アンモニウムは金属及び有機化合物との接触により分解して活性酸素を放出し酸化作用を示す。食品工業においては小麦粉の改良剤として永年使用されている。過硫酸アンモニウムの安全性評価の一環としてラットにおける90日間反復投与毒性試験を実施した。【方法】各群雌雄10匹の6週齢F344系ラットに、過硫酸アンモニウムを0、240、1200及び6000 ppmの濃度で基礎飼料に混じて自由に摂取させた。投与期間中、毎日一般状態を観察し、体重、摂餌量及び摂水量を週1回測定した。投与最終週に眼科学的検査、尿検査を行った。投与期間終了後、腹部大動脈より採血し、血液学的検査及び血液生化学的検査を行った。放血致死後に剖検を行い、主要器官の重量測定、全身諸器官の病理組織学的検査を実施した。【結果】投与期間中に死亡例はみられず、一般状態、眼科学的検査、血液学的検査、肉眼的及び病理組織学的検査において被験物質の投与による影響は認められなかった。雄6000 ppm群において、体重増加の抑制、摂餌量及び摂水量の低下がみられた。尿検査では、pHの低値、尿比重及び尿中電解質の高値、血液生化学的検査では、アラニンアミノトランスフェラーゼ、総コレステロール、リン脂質、トリグリセリド及び総蛋白の有意な低値がみられ、器官重量では、脳、肺、腎臓、副腎及び唾液腺の相対重量が有意な高値を示した。これらの成績は、摂餌量及び摂水量の低下に伴う体重増加の抑制に関連した影響と考えられた。雌6000 ppm群では、体重に変化は認められなかったが、摂水量、尿検査及び血液生化学的検査では雄と同様の変化がみられ、器官重量では唾液腺の相対重量が有意な高値を示した。雌雄1200 ppm及び240 ppm群では、被験物質投与の影響は認められなかった。【結論】過硫酸アンモニウムの無毒性量(NOAEL)は雌雄共に1200 ppm群(雄では72 mg/kg/day、雌で83 mg/kg/day)と判断した。(厚生労働省食品・添加物等試験検査費による)
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© 2012 日本毒性学会
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