日本毒性学会学術年会
第39回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-145
会議情報

ポスター
イメージングサイトメーターを用いた単層カーボンナノチューブの細胞毒性評価の研究
*永野 麗子加藤 晴久遠藤 茂寿丸 順子宮内 亜里沙中村 文子篠原 直秀内野 加奈子福田 真紀子衣笠 晋一橋本 尚岸本 充生小原 佐和枝藤田 克英
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
近年、高速蛍光バイオイメージング技術の開発が進み創薬における薬物評価、薬物スクリーニングなどに応用される傾向にある。イメージングサイトメーター(IN Cell Analyzer 2000)は、短時間で生きたままの細胞の様々な現象を高速にイメージングし、そこから得られる生化学的情報を迅速に定量し統計解析ができる大変優れたシステムである。本研究は、このIN Cell Analyzer 2000を使用して、細胞培地中におけるスーパーグロース-単層カーボンナノチューブ(以下、SG-単層CVNT)のヒトII型肺胞上皮細胞(A549細胞)への毒性影響を調べるために、SG-単層CNTを超音波処理により平均粒子径285.4nm, 長さ200nm、懸濁CNT濃度0.87μg/ml~87μg/mlの安定かつ均一に培地中に分散させた培地調製液を作製後、A549細胞へ6~48時間の暴露試験を行った。培地調製液に含まれる単層-CNTの2次的物性の計測は、CNTサイズ、形態、濃度、塩濃度、不純物濃度、分散安定性、およびタンパク吸収性に着目しTEM, UV, ICP, SEM-E, TG、DLS、FFF法によって細胞毒性試験と並行して行った。暴露試験後、IN Cell Analyzer 2000により細胞画像を取得し、解析ソフトウエアであるDeveloper Tool Box1.9によって画像解析を行った。解析項目は、細胞生存数、DNA合成率(EdU)、酸化ストレス(ROS),アポトーシス(Caspase 3/7)とした。その結果、酸化ストレスは、87μg/mlで48時間から有意に増加する傾向が見られたものの細胞生存数、死細胞数、およびアポトーシスについては、コントロール群と比して有意な毒性影響は認められなかった。本試験によって、イメージングサイトメーターは単層-CNTの細胞毒性影響を調べるツールとして有効であることが確認された。
著者関連情報
© 2012 日本毒性学会
前の記事 次の記事
feedback
Top