日本毒性学会学術年会
第39回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-173
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消化管小核試験の開発 ~一般毒性試験への組込みのための検討~
*成見 香瑞範藤石 洋平岡田 恵美子永田 百合子角 将一大山 ワカ子
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抄録
我々は消化管(腺胃、結腸)小核試験法の開発を試みている。特に全身吸収が認められない、あるいは暴露証明の難しい複合化合物(食品等)の遺伝毒性を評価する際には、経口摂取時に直接接触する消化管を標的とした小核試験法が有用であると考える。一方、ICH S2(R1)ガイドラインにおいても動物実験の3Rsが求められているように、消化管小核試験法が広く利用されるためには、一般毒性試験への組込みが必要不可欠である。
【検討1】同一個体の消化管を病理組織学的検査および小核試験で共用する方法について
 胃は前胃、胃底腺およびこれらの境界部が観察できる部位と胃底腺および幽門腺が観察できる部位の2か所で切り出し病理組織検査に用いた。残った胃の噴門からガラス棒を通し、棒の先端に備えた玉部で粘膜面を表に返して、接着剤を用いて固定した。この状態でDTT-EDTA処理を行い、小核観察用の細胞を分離した。結腸は近位部および中間部の約2 cmを病理組織検査用に採材した。残った二片をガラス棒に裏返して通し、EDTA処理により細胞を分離した。腺胃、結腸共に小核の観察に充分な質、量の細胞標本が得られることを確認した。
【検討2】長期反復投与時に適した腺胃の小核評価部位について
 通常、4日間の連投により、主に被覆上皮細胞(寿命:3~4日程度)を分離して小核誘発性を評価している。今回、遺伝毒性発がん物質であるN-Methyl-N-nitrosoureaおよび臭素酸カリウムをCrl:CD(SD)ラット(雄、8週齢)に4、14日間反復投与し、被覆上皮細胞および増殖帯よりも基底側の細胞層(寿命:2~200日程度)を各々分離し、小核誘発頻度を比較評価した。その結果、投与日数や評価部位の相違による小核誘発頻度の明らかな差は認められなかった。従って、反復投与毒性試験に組込んだ場合にも、被覆上皮細胞について評価することで良いものと思われた。
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© 2012 日本毒性学会
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