日本毒性学会学術年会
第39回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-18
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ウラン腎毒性関連マーカーの動態に関する基礎的検討
*大町 康池田 瑞代宍倉 恵理子田嶋 克史
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抄録
ウランはアクチニド元素の一種で、化学毒性として腎毒性を惹起する。ウラン体内汚染時の治療を考える上でも本腎毒性をより鋭敏に検出できることが望まれている。今回我々は、ウラン創傷汚染を模擬した体内暴露モデルにおける急性期の腎毒性について、近年その有用性が報告されている各種腎毒性関連マーカーの動態について検討を行った。8週齢雄性SDラットに硝酸ウラン(0.03~4mg/kg)を筋肉内投与し、ウラン投与1日目、3日目の24時間尿について尿生化学検査を行うとともに、ウラン投与3日後に解剖し、血液生化学的、病理学的な解析を行った。尿についてはKim-1、ALB、Clusterin、β2ミクログロブリンをELISA法により測定した。ウラン投与3日後において0.25mg/kg以上でBUNの、0.5mg/kg以上で血清Cre、尿中TP、尿糖の用量依存的な増加が認められた。組織学的には投与1日後では0.5mg/kg以上で尿細管上皮細胞の孤在性壊死が、投与3日後では0.06mg/kgで尿細管上皮細胞の孤在性壊死が、0.13mg/kg以上で尿細管壊死が認められた。尿中ALBは1日目尿では2mg/kg以上で、3日目尿では0.5mg/kg以上で排泄増加が認められ、Kim-1,Clusterin,β2ミクログロブリンは3日目尿で排泄量が増加し、Kim-1は0.13mg/kg群で有意に増加した。以上、ウラン投与ラット腎毒性では、高度の障害がおこる用量では早期にアルブミン排泄が増加し、また腎毒性が明らかとなるウラン投与3日後ではKim-1が一番鋭敏な指標であることがわかった。実際の臨床においては、できるだけ早期にかつ鋭敏な検出ができるマーカーが望まれるため、さらなる検討を進めてゆく予定である。
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© 2012 日本毒性学会
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