抄録
我々の研究施設で1990年から2010年まで20年以上に渡って実施したKbl:JWウサギの胚・胎児発生試験における対照群の動物の生殖関連指標及び自然発生性の奇形のデータ並びに1988年、1995年及び2007年に実施したサリドマイドの胚・胎児発生試験における奇形のデータをレトロスペクティブに解析した。対照群のデータを5または6年毎に分割して解析したところ、生殖関連指標並びに胎児の外表、内臓及び骨格所見の発現頻度は安定しており、胎児の自然発生性の奇形及び変異の発現頻度にも顕著な変動はなかった。さらに、サリドマイドで誘発される奇形の特徴も3時点間でほぼ同等であり、再現性は高かった。以上より、Kbl:JWウサギは自然発生性あるいは薬剤誘発性の催奇形性の経時的変動が少なく、被験物質の胚・胎児発生への影響を安定して評価することに適した系統であることが確認された。