日本毒性学会学術年会
第39回日本毒性学会学術年会
セッションID: S10-4
会議情報

重金属の毒性とその防御の分子メカニズム
核内受容体としての有機スズ化合物とその毒性
*中西 剛
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
重金属は強い毒性を示すものが多いが、一般的にこのような低分子化合物の分子レベルでの毒性発現機構の解明は困難である。近年、内分泌かく乱化学物質問題で話題となったトリブチルスズ(TBT)やトリフェニルスズ(TPT)は、貝類などの生物種に特徴的な生殖毒性を誘引するが、我々はこれらの有機スズ化合物が核内受容体であるretinoid X receptor(RXR)とperoxisome proliferator-activated receptor (PPAR)γの強力なデュアルアゴニストとして働くことで、ヒトを初めとする様々な生物種に対して内分泌かく乱作用を発揮する可能性を明らかにした。一方で、これらの受容体に対するリガンドの結合様式は、X線結晶構造解析法によりホロ構造解析が行われており、リガンド結合ポケットの各部位に収まる官能基がある程度予測されている。しかしながらTBTやTPTは、既知のリガンドとは大きく構造が異なることから、その結合様式は不明な点が多く、また大きく異なることが予測される。さらにTBTやTPTと類似構造を有する化合物についても、リガンド活性を有するものが存在するかもしれない。本講演では、有機金属化合物の毒性と核内受容体リガンド作用について、その構造面から議論したい。
著者関連情報
© 2012 日本毒性学会
前の記事 次の記事
feedback
Top