日本毒性学会学術年会
第39回日本毒性学会学術年会
セッションID: ST-3
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化学物質の安全性をin silicoで評価する
毒性作用機序データベースの開発
*山田 隆志
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抄録
In silicoにより化学物質の反復投与毒性を予測するためには、類似物質の既知の反復投与毒性試験データを有効に活用することが不可欠である。さらに予測結果が毒性学的に受け入れられるためには、毒性作用機序に基づき、予測結果の透明性を確保することが重要である。しかし、化学物質の毒性作用機序に関する情報は、学術文献や総説の形で分散して存在しており、その情報を効率よく利用することは困難である。そこで、反復投与毒性試験報告書データベースに収められている化学物質を対象に、発現毒性と関連がある作用機序の情報を収集・整理してデータベースの構築を行い、対象物質の毒性作用機序を考察できる根拠を提供することを目指した。強い毒性を誘発する物質は、その毒性作用機序の研究もある程度進んでいると考えられたため、反復投与毒性試験報告書データベースを精査して変性・壊死といった重篤な毒性を発現した物質を選抜し、その毒性作用機序に関連する学術文献を収集した。対象とする発現毒性には、溶血性貧血、肝毒性、腎毒性、精巣毒性、神経毒性、膀胱毒性を選んだ。そしてトキシカントの推定、生体機能に毒性影響を及ぼす生体分子・細胞内小器官・細胞・臓器の損傷、対象化合物に対する分子・細胞・臓器レベルでの生体応答、毒性作用機序と関連するマーカーなどに関する証拠を要約し、データベース化した。本発表では、毒性作用機序データベースに収録したデータの概要と、毒性予測における本データベースの活用事例について紹介したい。
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© 2012 日本毒性学会
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