日本毒性学会学術年会
第39回日本毒性学会学術年会
セッションID: ST-6
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化学物質の安全性をin silicoで評価する
カテゴリーアプローチによる反復投与毒性の評価
*櫻谷 祐企
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抄録
カテゴリーアプローチによる反復投与毒性の評価を支援するためのコンピュータソフトウェアである有害性評価支援システム統合プラットフォーム(HESS)を開発した。HESSには、毒性発現のメカニズムに基づいて反復投与毒性のデータギャップ補完を行うためのカテゴリーのライブラリーが搭載されている。本発表では、我々が開発した反復投与毒性に対するカテゴリーの概要及びHESSの機能について発表する。化審法既存点検結果やNTP短期毒性試験などのデータの確認できる500物質の構造からカテゴリーの構築を行った。まず、これらの500物質のうち、類似する毒性発現メカニズムにより特定の毒性が発現することが想定できる物質群を学術論文により調べ特定した。次に、これらの物質群の反復投与毒性試験データを調べ、対象とする毒性が低用量で発現する物質の化学構造やパラメータの領域を特定しカテゴリーとして定義した。その結果、肝臓影響や溶血性貧血など14種類の毒性に対し、33種類のメカニズムに基づくカテゴリーを構築した。定義したカテゴリーは、トレーニングセットの物質や毒性発現のメカニズム情報などと共にカテゴリーライブラリーとしてHESSに搭載した。ユーザーが評価対象の化学物質をHESSに入力すると、HESSはカテゴリーライブラリーに基づき評価対象のカテゴリーの候補となる類似化学物質の反復投与毒性試験データをその毒性発現メカニズムや代謝情報と共に提供する。ユーザーはこれらHESSから提供された情報を確認しつつ、必要に応じてサブカテゴリー化を行い、データギャップ補完を行うためのカテゴリーを確定する。HESSにおいて反復投与毒性試験データは、約500種類の所見に対するNOELとLOELとして表現されており、ユーザーは確定したカテゴリーに基づき、関連する所見のNOEL又はLOELを使ってデータギャップ補完を行うことができる。
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© 2012 日本毒性学会
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