日本毒性学会学術年会
第40回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-156
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一般演題 ポスター
HepaRG細胞を用いたin vitro肝細胞毒性試験の有用性検討
*富田 貴文岡村 早雄薩川 正広
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抄録
【目的】医薬品の研究開発において化合物の肝障害リスクを早期に予測することは,研究開発の成功率を上げることや費用及び期間の削減のために重要である。創薬早期の探索的な肝障害リスク予測評価系として,ヒト初代培養肝細胞及びヒト肝癌由来細胞株HepG2を用いたin vitro肝細胞毒性試験が多く報告されている。しかしながら,ヒト初代培養肝細胞では安定した供給面,HepG2細胞では肝機能の保持に問題がある。一方,ヒト肝腫瘍由来細胞株HepaRGはヒト肝細胞様形態や各種機能を保持していることから薬物動態研究や毒性研究に有用と考えられる。本試験ではHepaRG細胞を用いたin vitro肝細胞毒性試験により,肝毒性を示す化合物19種を評価し,HepaRG細胞のin vitro肝障害リスク予測への有用性を検討した。
【方法】試験物質はヒトで薬剤性肝障害が報告されている医薬品(ヒト肝毒性化合物)16種,動物実験で薬剤性肝障害を示す化合物(動物肝毒性化合物)3種を使用した。HepaRG細胞に試験物質を24時間処理後,主要な肝毒性機序を反映する6種類のパラメータ(細胞生存率,グルタチオン量,Caspase 3/7活性,脂肪蓄積量,LDH漏出量,アルブミン分泌量)について測定した。
【結果及び考察】78.9%の化合物(ヒト肝毒性化合物では12/16化合物,動物肝毒性化合物では3/3化合物)において1項目以上のパラメータの変動が認められた。肝障害リスクの予測性は,多種類のパラメータを設定することにより向上した。また,ヒト臨床Cmaxの約25倍以下でパラメータの変動が認められた化合物の多くは,黒枠警告あるいは販売中止となったものであった。以上より,HepaRG細胞を使用したマルチパラメータによるin vitro肝細胞毒性試験は,肝障害リスクを探索的に予測する評価系として有用と考えられた。
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© 2013 日本毒性学会
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