日本毒性学会学術年会
第42回日本毒性学会学術年会
セッションID: O-16
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一般演題 口演
抗腫瘍活性物質感受性関連遺伝子群のゲノム機能学的包括的探索法の開発
*信國 好俊升本 順子沼本 通孝好光 健彦
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抄録
【目的】抗腫瘍活性物質感受性関連遺伝子群のゲノム機能学的包括的探索法の開発
【背景】我々はこれまで大規模ジーントラップ挿入変異細胞ライブラリーを用いた機能遺伝子群の系統的解明法の検討と開発に取り組んできた。これは random mutagenesis による遺伝学的解析法の1つで、ジーントラップ法で様々な遺伝子を破壊した変異細胞ライブラリーの中から、特定の表現型を持つ変異細胞を単離できれば、その変異の責任遺伝子の解明が可能になる。
 このゲノム機能学的解析法を用いて、三酸化ヒ素およびAgelastatin-Aという海綿Agelas dendromorpha (Axinellida)から見出された抗腫瘍活性物質を例に、抗腫瘍活性物質感受性関連遺伝子群の探索法の開発を進めてきた(第41回日本毒性学会学術年会)。しかし、感受性の低下した変異細胞を一つ一つ単離して解析していくのは多くの時間と労力のかかる仕事で、より簡便な包括的探索法の開発が求められている。
【方法】①大規模ジーントラップ挿入変異CHO細胞ライブラリーの中から、三酸化ヒ素、あるいはAgelastatin-A処理でも、生き残ってきた細胞を各感受性低下変異細胞とした。②各感受性低下変異細胞でトラップ(同時に破壊)された遺伝子を5’-RACE法で増幅後、シークエンス/BLAST解析によって同定した。
【結果・考察】①これまでに解析を進めてきた、(ⅰ)三酸化ヒ素感受性関連遺伝子群、(ⅱ)Agelastatin-A関連遺伝子群、(ⅲ)細胞内コレステロール代謝異常関連遺伝子群のスクリーニング結果の比較検討から、大規模ジーントラップ挿入変異細胞ライブラリーを用いた遺伝子探索法は、様々な細胞表現型を指標とした機能遺伝子群の解明に有用であると考えられた。②現在、より簡便かつ包括的なゲノム機能学的包括的探索法の開発を進めている。
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© 2015 日本毒性学会
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