日本毒性学会学術年会
第42回日本毒性学会学術年会
セッションID: O-23
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一般演題 口演
HepG2スフェロイド培養における形態学的評価及びmiR-122測定の有用性についての検討
*一ツ町 裕子森山 賢二別枝 和彦森田 文雄箱井 加津男
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抄録
【目的】マイクロRNAは遺伝子発現を制御して種々の生命現象に関与していることが明らかとなっており,組織から分泌される体液中のマイクロRNA(miRNA)は毒性学分野ではバイオマーカーとしての有用性が報告されている.肝細胞特異的なmiR-122は肝細胞障害時に血中で高発現することから診断マーカーとしても近年注目されている.肝細胞の3次元培養法は肝細胞の長期培養や,より生体に近い機能維持が可能であることから,in vitroの肝毒性評価系として有用である.本研究では,HepG2細胞を用いたスフェロイド培養法を用いて,化合物曝露による肝毒性を形態学的評価及びmiR-122の定量によって検討した.
【方法】HepG2細胞を用いてスフェロイドを作製し,媒体,acetaminophen(APAP)及びtetrachloromethane(CCl4)を曝露した.スフェロイドを経日的に顕微鏡観察,生細胞染色観察,パラフィン切片作製及びその観察を行い,形態学的評価を行った.また,経日的に培養液及びスフェロイドを回収後,miR-122を測定した.
【結果及び考察】APAP及びCCl4を曝露したスフェロイドは曝露量依存的にその形態に異常が認められ,膜透過性が亢進していることが確認された.また,曝露後8日目には用量依存的に生細胞数が減少していた.スフェロイドのパラフィン切片を作製し,HE染色したところ,細胞の変性及び壊死像が用量依存的に認められた.一方,経日的に細胞及び培養上清を回収し,miR-122を測定したところ,APAP及びCCl4を曝露したスフェロイドでは曝露後24時間で細胞及び上清中のmiR-122は媒体曝露と比較して著しく上昇しており,また,経日的にその値は上昇することが確認された.以上のことから,HepG2スフェロイドの形態学的評価及びmiR-122のモニタリングは肝毒性検出に有用であることが示唆された.
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© 2015 日本毒性学会
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