日本毒性学会学術年会
第42回日本毒性学会学術年会
セッションID: O-27
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一般演題 口演
バイオマーカーを用いたアジュバント添加インフルエンザワクチンの次世代安全性評価法の開発
*水上 拓郎百瀬 暖佳倉光 球平松 竜司益見 厚子栗林 和華子古畑 啓子高井 万海子山田 弘石井 健浜口 功
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抄録
感染症に対し、ワクチンは最も有効な予防手段の一つであり、有効性を高める為のワクチンデザインに加え、新規接種ルート・接種法の開発、免疫活性を増強する為のアジュバントの添加など様々な工夫がなされている。インフルエンザワクチンに関しては、既に承認されている接種ルートに加え、粘膜免疫を誘導する経鼻接種や注射器の要らないパッチワクチン等が開発されている。また免疫活性を高める為に既に承認されているアルミニウムアジュバント以外にも様々なアジュバントが開発され、製剤の多様化が進んでいる。
 我々はこのような多様なワクチン及びアジュバントの新しい安全性評価法を開発する目的で、トキシコゲノミクスの応用を試みてきた。百日せきワクチンや日本脳炎ワクチンに加え(Momose et al., 2010)、インフルエンザワクチンにおける有効性について検討し、インフルエンザワクチンの安全性を評価する20個のバイオマーカー(BM)を同定する事に成功した (Mizukami et a., 2009, 2014)。季節性のインフルエンザワクチンはその流行株によって原料ウイルス株が年毎に代わることからも、株の違いを含めた毒性・安全性評価は非常に重要である。そこでこれらのBMを用い、季節性のインフルエンザワクチンの安全性評価が可能か検討した。その結果、これらのBMがワクチンの安全性に加え、従来の試験法では難しかったロット間差についても定量的に評価出来る事が明らかとなった。
 次に、接種ルートの違いによってこれらの結果に影響を与えるか検討した結果、筋注・腹腔内注射及び経鼻接種の何れの接種法・容量においても安全性を評価できる事が明らかとなった。更に近年開発されたCpGアジュバントの安全性を定量的に評価できるか検討した結果、何れのBMも有意に発現上昇が認められ、アジュバント評価にも応用可能である事が示唆された。
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© 2015 日本毒性学会
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