日本毒性学会学術年会
第42回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-116
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一般演題 ポスター
イミノジプロピオニトリルのマウスへの発達期暴露による海馬歯状回における離乳時および成熟時ニューロン新生に対する影響
*板橋 恵田中 猛白木 彩子阿部 一木村 真之水上 さやか渡邉 洋祐寒川 裕見吉田 敏則渋谷 淳
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抄録
【背景および目的】イミノジプロピオニトリル(IDPN)は、齧歯類への飲水投与により中枢や末梢神経に軸索傷害を誘発することが知られている。本研究ではIDPNのマウスを用いた発達期暴露実験を行い、離乳時及び成熟時での海馬歯状回におけるニューロン新生への影響を検討した。【方法】各群12匹の妊娠ICRマウスに0、600、1200 ppmの濃度で妊娠6日目から離乳時(分娩後21日目)まで飲水投与し、雄児動物を生後21日目と生後77日目に解剖し、その脳を用いて歯状回の顆粒細胞層下帯(SGZ)におけるニューロン新生の各成熟段階にある細胞数の変動及び歯状回門での介在ニューロンの分布を免疫組織化学的に検討した。【結果】母動物、児動物ともに分娩後8~21日にかけて摂餌量の低値を伴う体重低値が600 ppmより認められ、離乳時には1200 ppmで児動物の脳絶対重量低値がみられた。1200 ppmでは母動物の12匹中8匹において、脊髄神経にごく軽度な軸索変性がみられた。免疫組織化学的染色によりSGZにおけるdoublecortin陽性細胞数の減少が1200 ppmでみられた。SGZにおけるBlbp、Sox2、Tbr2陽性細胞数、歯状回門でのreelin、parvalbumin、calbindin、calretinin陽性細胞数に関してはいずれも変動しなかった。生後77日目においてもSGZではdoublecortin陽性細胞数の減少がみられた。【考察】IDPNの妊娠期・授乳期暴露により歯状回での介在ニューロンを介さないニューロン新生障害が示唆され、その標的細胞はSGZの後期前駆細胞もしくは未熟顆粒細胞と考えられた。この変化は生後77日においても持続しており、IDPNによるニューロン新生障害は不可逆的と判断された。
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© 2015 日本毒性学会
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