日本毒性学会学術年会
第42回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-19
会議情報

優秀研究発表 ポスター
薬剤性急性腎障害における尿中L-FABPと他の尿中腎障害バイオマーカーの経時的変化
*鈴木 慶幸小松 弘幸橘田 久美子池田 元太高尾 みゆき江田 景及川 剛田口 景子菅谷 健門田 利人斎藤 嘉朗前川 京子清水 茂一
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【目的】急性腎障害の早期診断のために様々な尿中バイオマーカー(BM)が開発されているが,非臨床と臨床を確実に橋渡しできる新規BMはほとんどない.我々は、これまでに,本邦及び欧州で体外診断薬として認可されている尿中L-type Fatty Acid Binding Protein(L-FABP)に着目して,L-FABPがラット腎障害モデルにおいても有用な腎障害BMであることを報告してきた.L-FABPは腎微小循環障害を反映する虚血・酸化ストレスマーカーであり,他のバイオマーカーよりも早期に腎障害を検出できる可能性が示唆されている.今回,我々は,3種の薬剤性急性腎障害モデル(Cisplatin,Gentamicin及びAmphotericin B)を用いて,尿中L-FABPと他の尿中腎障害バイオマーカーの変化を経時的に比較検討した.
【方法】6週齢の雄性SDラットにCisplatin(4mg/kg静脈内単回),Gentamicin(50又は200mg/kg皮下4回)及びAmphotericin B(50mg/kg腹腔内単回)を投与して腎障害を誘発させ,Day1及びDay4に尿中及び血中の腎障害BMを測定して,腎臓の病理組織学的検査も行った.
【結果】各薬剤により腎障害を誘発させた結果,軽度~重度の器質的変化が腎尿細管にみられ,各種既知の腎障害BMの変化の程度は,各薬剤における尿細管障害の度合いによって異なった.また,尿中L-FABPは各薬剤によって特徴的な変化を示した.なお,本研究は平成26年度厚生労働科学研究委託費「医薬品・医療機器の実用化促進のための評価技術手法の戦略的開発」の一部として行った.
著者関連情報
© 2015 日本毒性学会
前の記事 次の記事
feedback
Top