日本毒性学会学術年会
第42回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-190
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一般演題 ポスター
デキストラン硫酸ナトリウム誘導潰瘍性大腸炎モデルラットにおける便中S100A9のバイオマーカーとしての有用性
*村山 寛関屋 俊介村田 誠荒井 智芦田 則之岡田 光貴池本 正生
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抄録
【目的】 S100A8/A9(カルプロテクチン)はS100ファミリーに属するタンパク質であり,炎症性腸疾患のバイオマーカーとして知られている.しかし,その構成成分であるS100A9モノマータンパク質については十分に検討されていない。今回,我々はS100A9に対するモノクローナル抗体を作製し、S100A9測定用サンドイッチ型ELISAを構築した。本研究においては,このELISAを用いてデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘導潰瘍性大腸炎(UC)モデルラットの糞便中S100A9を測定し、UCに対する新規バイオマーカーとしての有用性を明らかにする.
【方法】 SDラット(6週齢、雄)を1週間馴化後、3%(w/v)DSS水溶液または、純水を11日間自由飲水させた群を,それぞれDSS投与群(D群)及び対象群(C群)とした。便は両群ともに毎朝採取し,便中S100A9濃度はELISAで測定した.同時に,体重測定、Disease Activity Index(DAI)スコア判定も実施した。また,投与最終日に大腸(結腸~直腸)を摘出し、大腸の長さと湿重量を測定することにより比重を算出した。
【結果】 D群ラットにおいて,血便及び大腸の肥厚がそれぞれDay6及びDay10で観察された。一方、便の単位重量(1 mg)当たりのS100A9量は投与日数の経過に伴い上昇し,Day2以降においてC群より有意に高値を示した。以上の結果から,少なくともUCのバイオマーカーとして,S100A9はDAIスコアより優れていた。
【結語】 我々が開発したUCラット糞便中S100A9測定用ELISAは,炎症性腸疾患の早期検出においてDAIスコアによる判定よりも有効であり,かつ客観的な評価方法である。
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© 2015 日本毒性学会
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