抄録
【緒言】非侵襲的かつ経時的に得ることが可能な尿を用いて，腎障害を予測することは極めて有用であるが，サルの腎障害マーカーに関する報告は少ない．我々は，腎毒性を誘発する薬剤をカニクイザルに投与して経時的に採尿し，尿中バイオマーカーの測定を試みた．加えて，尿及び血清中の従来の腎障害バイオマーカーや，病理組織変化との関連性について比較検討した．
【方法】カニクイザルに，ドキソルビシン（0.3，1及び3 mg/kg）またはアムホテリシンB（0.5，1及び2 mg/kg）を単回静脈内投与した．投与開始日を第1日として，投与前，第3，5及び8日に新鮮尿及び血清を採取した．得られた尿を用い，ヒト用腎障害検出キット（Kidney Injury Panel 3及び5，Meso Scale Discovery）にて，Calbindin、αGST、KIM-1、Osteoactivin、VEGF、Cystatin C、NGAL、TFF-3等，各種バイオマーカーを測定した．同時に，尿中クレアチニン（uCre），尿中アルブミン（uAlb），尿中N-アセチル-β-D-グルコサミニダーゼ（NAG），血清クレアチニン（sCre）及び尿素窒素（UN）を測定した．第8日に剖検し，腎臓を採取して組織学的検査を実施した．
【結果】ドキソルビシン及びアムホテリシンB投与により、いくつかのBMが変動を示した．本学会では，さらに高用量を投与した際の結果及び病理組織学的検査との相関性について報告する．
