日本毒性学会学術年会
第42回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-189
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一般演題 ポスター
急性膵外分泌毒性のバイオマーカー指標としてのmiR-216aおよびmiR-217
*瀧 憲二Jianying WANGRolla YAFAWIWenhu HUANGWenyue HUStephane THIBAULTWesley SCOTTErick KINDTHovhannes J GUKASYANRoshan ASHOORAllison VITSKYAnette JOHN-BAPTISTE
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抄録
医薬品開発および臨床現場で膵臓障害をモニターするための適切な予測マーカーは存在していない。古典的なバイオマーカーであるアミラーゼおよびリパーゼは,膵外分泌障害のモニターに対して特異的でなく感度もあまりよくない。そこで,血漿中のmiR-216aおよびmiR-217が近年,急性膵炎のバイオマーカーとして報告されていることに着目し,本試験では,CaeruleinおよびCyanohydroxybutene (CHB)誘発の急性膵炎に対して,miR-216aおよびmiR-217の発現を評価した。Caeruleinは合成コレシストキニンアナログ,CHBはアブラナ科で発見された自然毒であり,両化合物ともに膵酵素の分泌を引き起こす。
雄Wistar Hanラットを用いて膵炎モデルを作成した。①Caerulein:0,15および50 µg/kgの用量で1日3回,1時間おきに腹腔内投与した。②CHB:0,50および150 mg/kgの用量を皮下投与した。それぞれ投与1,6,24および48時間に採血し,投与3日に剖検した。血清中miR-216aおよびmiR-217をTaqManリアルタイムPCRにより,アミラーゼおよびリパーゼをシーメンスAdvia 1200 Chemistry Analyzerにより測定した。剖検時に膵臓の状態観察および病理組織学的観察も行った。
膵炎はCaeruleinの15および50 µg/kg投与,CHBの50および150 mg/kg投与で認められた。miRNAの発現は両モデルで腺房細胞の障害と相関していた。Caerulein投与モデルでは,リパーゼとmiRNA発現の相関性は良く,miRNAはリパーゼより長期にわたって発現していた。以上より,ラットにおいてmiR-216aおよびmiR-217は急性膵外分泌毒性に対して感度が良く,アミラーゼやリパーゼより同等かそれ以上の指標であると考えられた。
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© 2015 日本毒性学会
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