日本毒性学会学術年会
第42回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-217
会議情報

一般演題 ポスター
有機リン剤の複合暴露のLife stageによる変化 - ChEとPON1活性の影響評価-
*元村 淳子首藤 康文林 宏一藤江 秀彰小松 豊田島 均大塚 亮一山口 悟牧野 絵美小嶋 五百合青山 博昭原田 孝則
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【背景】これまで我々は、雌ラットを用いて若齢、成熟および妊娠動物に対する、有機リン系農薬のパラチオン(P)およびメタミドホス(M)の単剤あるいは複合暴露影響について検討し、若齢、成熟、妊娠動物の順に毒性が増強されることを示した。
本研究では、若齢期、成熟期及び妊娠期の雌ラットに対し、P及びMを複合暴露して以下の検討を行った:神経系への影響評価 [実験①]、妊娠期の毒性増強に与える胎児の影響評価(偽妊娠動物との比較検討) [実験②]、Life stageにより毒性の程度が異なる要因の検討 [実験③]。【方法】被験物質投与用量は、低用量群としてP 0.3 mg/kgとM 0.4 mg/kg、高用量群はP 0.6 mg/kgとM 0.8 mg/kgを各々1:1で混合した2用量を設置した。投与期間は、若齢期及び成熟期は14日間、妊娠及び偽妊娠動物に対してGD6からGD13またはGD6からGD20まで反復経口投与した。神経症状[実験①・②]、コリンエステラーゼ (ChE) 及びParaoxonase1 (PON1) 活性を測定した。【結果】重篤な神経症状が妊娠及び偽妊娠動物で認められた。神経症状は妊娠期/偽妊娠動物で最も強く発現し、成熟期、若齢期の順で軽減した [実験①・②]。脳ChE活性は全ての試験群で用量相関性に低下し、偽妊娠動物では妊娠動物と同程度の低下が認められた。PON1活性は全ての試験群で投与に起因する低下が認められた [実験③]。【考察】妊娠と偽妊娠動物での毒性発現に違いが無いことから、母体重の増加で毒性が増強されたことを否定する。脳ChE活性は、神経症状の程度と相関し若齢期、成熟期及び妊娠期の順で低下した。PON1活性の低下には用量相関性及びLife stageによる変化は認められなかったため、更なる検討を行う。
(厚生労働省 食品の安心・安全確保推進研究事業)
著者関連情報
© 2015 日本毒性学会
前の記事 次の記事
feedback
Top