日本毒性学会学術年会
第42回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-231
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一般演題 ポスター
High Content Analyzerを用いたin vitro細胞毒性評価系の検討
*滝田 浩之荒木 徹朗川上 哲中薗 修鶴井 一幸
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抄録
【背景】医薬品開発において、ヒト毒性を正確に予測する非臨床試験系の開発は長年の課題である。In vitroにおいては,培養細胞株を用いた細胞毒性試験系が広く用いられてきた。しかし,細胞死に着目した従来の細胞毒性試験系ではヒト毒性の予測性に限界があり,現在,この問題に対して様々な研究が行われている。それらの研究を通じて,細胞死に先立ちミトコンドリア膜電位の消失,脂質の細胞内蓄積,活性酸素種の産生増加などの細胞内イベントが誘発されることが明らかとなってきた。このことから,被験物質暴露時の細胞内イベントを包括的に評価することは,ヒト毒性予測において有用な手法と考えられている1)
【目的】我々は,High Content Analyzerを用いて、化合物暴露に起因する細胞内イベントを包括的に評価することを目指している。本発表では,代表化合物として選択したスタチン系化合物9種の評価を行うことで,本試験系の有用性を検証した。
【方法】HepG2細胞を96ウェルプレートに播種した後,段階希釈した各スタチン系化合物に暴露させた。48時間後,各種蛍光プローブで細胞を染色し,IN Cell Analyzer 2200を用いて染色像を撮影した。評価項目には,細胞数,細胞生存率,細胞内カルシウム,ミトコンドリア膜電位,活性酸素種の産生、細胞内脂質(中性脂肪、リン脂質)を用いた。
【結果と考察】各化合物の評価結果を測定項目ごとに比較した。細胞障害性が同程度の化合物であっても,ミトコンドリア膜電位など他の評価項目は,各化合物に特徴的な変動パターンを示した。化合物間で変動パターンを比較すると、臨床における毒性リスクと相関が認められた。また、本結果は過去の文献報告1)と同様の傾向を示した。以上の結果から,本試験系による細胞毒性の包括的評価は,ヒト毒性予測において有用であると考えられた。
【参考文献】1) O’Brien et al., Arch Toxicol (2006) 80: 580-604.
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© 2015 日本毒性学会
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