日本毒性学会学術年会
第42回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-34
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優秀研究発表 ポスター
生化学自動分析装置を用いた簡便な in vitro 肝毒性評価法の検討
*小林 翔平武藤 信一有坂 宣彦相馬 晋司田村 啓
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抄録

非臨床試験で肝障害が発現した場合,ヒトでの肝障害リスクを推定するため,非臨床での発現機序の解明及び外挿性の推定が必要とされる。今回,ヒト,カニクイザル及びラットの初代肝細胞に既知肝障害物質(クロルプロマジン,カルボニルシアニド-m-クロロフェニルヒドラゾン,α-ナフチルイソチオシアネート,アセトアミノフェン,ベンズブロマロン)を24及び48時間連続曝露し,培養上清中の逸脱酵素(LDH, ALT, AST, GLDH),機能マーカー(ALB, UREA)を生化学自動分析装置にて測定し,簡便な肝障害リスク評価が可能か検討した。ALBは尿中マイクロアルブミン測定試薬を,UREAはBUN測定試薬を用いた。また,肝特異的かつ高感度なin vivo肝障害マーカーであるmiR-122のin vitroマーカーとしての適格性も検討した。その結果,ヒトと動物に共通して以下が評価可能であった。①ミトコンドリア酵素GLDHによりミトコンドリア毒性の有無,機序の相違を評価できた。②機能マーカーALBにより形態変化を誘発又は逸脱酵素を上昇させる濃度より低濃度で肝細胞への影響を捉えられ,IC50で指標化できた。③胆管障害と肝実質障害を区別できた。④48時間連続曝露により明確に変化を捉えられた。なお,miR-122は他マーカー以上の感度を示さず,in vitro評価における有用性は見出されなかった。以上より,既知肝障害マーカーセットを生化学自動分析装置により測定することにより,簡便に肝障害発現機序が推定可能であり,さらに薬物動態に関わる情報や臨床用量を合わせて考慮することでヒトでの肝障害リスクを推定できる可能性が示唆された。現在,いくつかの医薬品についても追加データを取得中である。

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© 2015 日本毒性学会
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