日本毒性学会学術年会
第42回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-4
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優秀研究発表 ポスター
Biotin-(PEAC)5-maleimide-ELISAを用いた親電子性キノン化合物によるタンパク質修飾の簡便アッセイの提案
*安孫子 ユミNho Cong LUONG熊谷 嘉人
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抄録
[目的] 親電子性を有するキノン化合物は,タンパク質のチオール基に代表される求核置換基に共有結合し,生体防御応答もしくは化学発がん等の原因となる.当該物質によるタンパク質の化学修飾を検出するには,それぞれの抗体を作成してウエスタンブロット分析することが一般的であるが、多大な時間と労力を要する.そこで本研究では,Biotin-(PEAC)5-maleimide (BPM) 標識法を用いてELISA法を応用したキノン化合物によるタンパク質修飾の検出法を確立することを目的とした.
[結果および考察] A431細胞を1,2-naphthoquinone (1,2-NQ) および1,4-naphthoquinone (1,4-NQ) に曝露したサンプルで検討した結果,それぞれを特異的に認識する抗体を用いたウエスタンブロット分析では曝露量依存的なバンド強度の増加が見られるのに対して,BPMを用いた本分析では逆にバンド強度の減少が観察され,両者間で逆相関が見られた.このことは,BPMアッセイによるタンパク質の化学修飾検出の妥当性を示唆している.マウス肝細胞質画分を固相化した96穴プレートに1,2-NQおよび1,4-NQを反応させたELISAでも同様な結果が得られた.これを支持するように,5-hydroxy-1,4-NQ,5,8-dihydroxy-1,4-NQ,1,4-benzoquinone (BQ),tert-butyl-BQおよびアセトアミノフェンの親電子代謝物N-acetyl-p-benzoquinone imineについても本ELISAでタンパク質の化学修飾が認められた.さらに、大気揮発性成分には1,2-NQのような親電子物質が含まれていることが知られているが,BPMアッセイでその事実が再確認された.以上より、本法は親電子物質によるタンパク質の化学修飾を検出することで、キノン系化合物のような親電子物質の有無を簡便にスクリーニングできることが示唆された.
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© 2015 日本毒性学会
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