日本毒性学会学術年会
第42回日本毒性学会学術年会
セッションID: S5-2
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シンポジウム5 農薬の安全性と毒性の評価とその問題点
農薬登録に必要な毒性データと評価の現状およびその変遷
*早川 泰弘
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抄録
1 必要な毒性データ
 農薬は農薬取締法に基づき農林水産大臣の登録を受けなければ、製造・加工・輸入ができない。登録申請者は各種データを農林水産省に提出することが義務付けられているが、毒性データについては現在20種類となっている。これらのデータは国際整合の観点から原則としてOECDのテストガイドラインに準拠して作成されており、また信頼性確保の観点からGLP(Good Laboratory Practice)に適合したものでなければならない。
2 評価
 提出された毒性データはリスク評価機関である食品安全委員会において審議され、長期曝露評価に基づきADI(1日摂取許容量)、短期曝露評価に基づきARfD(急性参照用量)が設定される。これらを踏まえリスク管理機関である厚生労働省により残留農薬基準が設定される。これらの評価や基準設定に当たっても国際整合の観点から、FAO/WHO合同残留農薬専門家会議(JMPR)やコーデックス残留農薬部会(CCPR)の評価手法・考え方が参考にされる。このように設定された残留農薬基準を超えないように農林水産省は農薬の使用方法(使用時期、使用回数等)を定め農薬の登録を行っている。
3 変遷
 厚生省(当時)により我が国で最初に残留農薬基準が設定されたのは1968年である。同年農林省(当時)は、農薬登録申請者に5種類の毒性データを提出するよう行政指導を行った。その後、1971年の農薬取締法の改正により毒性データの提出は法的に義務付けられ、毒性データは7種類に増えた。さらに毒性学の発展等を踏まえ、1985年には18種類、2000年には現在の20種類に整備された。
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© 2015 日本毒性学会
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