日本毒性学会学術年会
第42回日本毒性学会学術年会
セッションID: SL3
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特別講演
医療系リアルワールドデータを用いた新世代の臨床疫学、薬剤疫学研究: 薬物の安全性評価・予測にどう切り込むか
*川上 浩司
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抄録
医療の進展おいて、ある治療法や看護法がどの患者のどのような状況で有用なのかを観察研究によって評価し、そこで得られた仮説をもとに当該治療を介入とした新規の臨床研究計画を策定し、ランダム化比較試験(randomized control trial; RCT)が実施される。古典的には、このような臨床試験の結果や、さらにそれらの集積としてのメタアナリシスによってエビデンスレベルの高い結論が得られ、エビデンスに基づいた医療(EBM)が実践されるとされてきた。昨今、IT技術の進歩などにより、診療情報を臨床研究に使用することができるような仕組み、レセプト情報や薬剤調剤情報DPCデータなどのデータベースが整備されつつある。そのために、介入を伴う臨床試験を実施せずとも、観察研究デザインでの質の高い疫学研究で、安価かつ迅速により多くの情報が得られるようになってきた。このような研究は医療の向上のみならず、医薬品等の安全性の担保や産業への還元にも役立っている。さらに、医療の提供において、同様の効果がある場合における費用対効果の検討も重要な検討領域となっている。これは計量経済学的手法を疫学と組み合わせて実施され、各国の医療政策においてもきわめて注目されている。本講演ではこれらを概説する。
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© 2015 日本毒性学会
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