日本毒性学会学術年会
第42回日本毒性学会学術年会
セッションID: W4-2
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ワークショップ4 薬物性肝障害のスクリーニングに関する最新動向
In vitroからの肝毒性プロファイリングにおけるHigh Content Imagingの役割
*清川 順平井上 智彰
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抄録
医薬品開発において薬物性肝障害(DILI)は重大な副作用の一つであり,非臨床研究段階におけるDILIの回避は重要な課題である。実験動物を用いたin vivo試験は,動物倫理及びリソースの面から早期多検体評価には不適であり,創薬研究早期においては培養細胞を用いたin vitroからの毒性予測へのアプローチが重要な役割を担う。非臨床におけるin vitro DILI評価の現状として,High Content Imaging(HCI)技術を用いた評価が報告されてきている。一般的なin vitro細胞毒性試験では細胞死等の限定的な情報しか得られない一方で,HCIは細胞毒性だけではなく,目的に応じた測定項目を設定することで細胞機能に関連した多くの情報を定量化して同時に評価することができる。HCIを用いたこれら個々の細胞レベルにおける生物反応のプロファイリングは,未知の化合物の毒性リスクに関する情報提供や候補化合物の選択,さらに動物試験で認められた毒性のメカニズムに対するアプローチの面から有用である。また,メカニズムに基づいたスクリーニング系確立への応用が可能であり,評価目的に応じて動物種や標的部位を考慮した細胞を選択することで,動物とヒトとの種差を含めた総合的な評価に繋がることが期待される。近年は毒性研究におけるHCIのより効果的な応用を目指して,マルチパラメータを活用した毒性評価や詳細な機能評価技術との連携,また曝露濃度の考慮などによるin vivoへのトランスレーションの観点を含めた評価への応用の可能性などについても注目されてきており,HCIの果たす役割は広がりを見せつつある。一方で,HCIにはin vitro評価系としての課題も存在しており,系の特性を理解した上での評価が重要である。
本発表では,in vitroからの肝毒性評価におけるHCIの役割,また創薬研究におけるそのデータの活用と応用に向けた評価系の現状について紹介し,HCIを用いたin vitro肝毒性評価における今後の課題と展望について議論したい。
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© 2015 日本毒性学会
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