日本毒性学会学術年会
第43回日本毒性学会学術年会
セッションID: O-4
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一般演題 口演
カノーラ油摂取が脳卒中易発症高血圧自然発症ラット(SHRSP)のステロイドホルモン代謝に及ぼす影響
*西川 真衣八木 聡美大原 直樹立松 憲次郎内藤 由紀子奥山 治美
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抄録

【背景と目的】雄性脳卒中易発症高血圧自然発症ラット(SHRSP)に食餌中脂肪源としてカノーラ油を与えると短命になる(対照は大豆油摂取群)。このとき、血漿中テストステロン濃度は低下し、アルドステロン濃度は上昇する。本研究では、これらのホルモンの生成に関わる酵素にカノーラ油摂取が及ぼす影響を調べた。
【方法】脂肪を含まないAIN-93 組成の飼料に10w/w% 大豆油(対照群)または 10w/w% カノーラ油を加えた飼料を、雄性SHRSP(Izm/ SLC、5週齢)に8週間与え、精巣および副腎組織のステロイド産生急性調節タンパク質(StAR)、コレステロール側鎖切断酵素(CYP11a)、17αヒドロキシラーゼ、17,20リアーゼ(CYP17)および3βヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ、副腎のCYP11b2のmRNAおよびタンパク質発現を比較した。
【結果】カノーラ油は精巣のStAR、CYP11a、CYP17および3βHSDのmRNA発現を抑制し、副腎のCYP11b2のmRNA発現を促進した。タンパク質の生成はCYP11aに於いて著しく抑制されたが、StARおよびCYP17では影響が認められなかった。
【考察】LC/MS/MSによるステロイドホルモンの測定結果とあわせると、カノーラ油摂取の影響は精巣と副腎で異なる。精巣がカノーラ油の毒作用の標的と考えられる。副腎でのCYP11b2のmRNA発現促進と血漿中アルドステロン濃度の上昇から、カノーラ油がCYP11b2を直接抑制する可能性もあるが、テストステロンがアルドステロン産生を生理学的に制御している場合、その抑制が阻害された可能性もある。

利益相反はなし。文科省科研費26350133

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