抄録
【はじめに】米国での新薬開発申請作業において,NDA/BLA申請では2016年12月17日以降,IND申請では2017年12月17日以降に開始される臨床試験及び一部の非臨床試験(単回・反復投与毒性試験及びがん原性試験)について,CDISC標準に準拠した試験データ提出が義務化された。SENDは非臨床試験のCDISC標準の一つであるが,各施設で作成されるSENDデータセットはバラつきが生じる可能性がある。CJUG-SENDチームでは,匿名で収集した複数の施設のマッピングルールを調査して,SENDデータセットの施設間のバラつきを分類し,SENDデータセット作成時に考慮すべきポイントをまとめた。
【方法】CJUG SENDチームメンバー所属施設(23施設;アンケート実施時点でのオブザーバーを含む)に対し,SENDデータセット作成についてアンケートを実施した。アンケートでは,(1) 基本的な背景情報(作成経験・目的等),(2) SENDの各ドメインデータセット作成に関するマッピングルール(ドメインごとの各変数の入力ルール及び入力に関するコメント)について,匿名で回答を収集して分析した。
【結果】SENDデータセットの利用目的として,半数以上の施設で申請以外に施設内外での利活用を目指していることが明らかとなった。一部の変数の入力ルールに差があることが分かった。回答施設の種別(製薬/試験受託/SEND作成サービス/ITベンダー)による層別解析では,マッピングルールの差は認められなかった。
【まとめ】各ドメインの値や変数のバラつきに関する懸念事項についてはStudy Data Reviewer’s Guideで説明すれば,申請上問題にはならないが,今後,臨床/非臨床試験両方のCDISC標準データを効果的に利活用できるマッピングルールを策定していくことが重要と考えられた。