ヒトiPS細胞応用安全性評価コンソーシアムの神経チームでは、ヒトiPS細胞由来神経細胞を用いた新たな安全性評価法の開発を目指しており、安全性評価のニーズが高い痙攣及びてんかんに着目し、微小電極アレイ(micro-electrode array: MEA)システムを用いて神経細胞の発火バーストに基づく評価手法の確立を試みている。昨年の本学会でヒトiPS細胞由来神経細胞(XCell Neurons、XCell Science社)を用いてMEAシステム(MED64システム、アルファメッドサイエンティフィック社)で痙攣誘発物質であるGabazine(GABA-A受容体遮断薬)、Picrotoxin(GABA-A受容体遮断薬)、および4-aminopyridine(K+チャネル阻害薬)の検討を多施設で行い、すべての化合物で同期バースト数の増加および同期バースト間隔の減少が認められ、これらのパラメータが痙攣リスクの評価パラメータとして有効であることを報告した。しかしながら他の痙攣誘発物質で実施した場合、すべての化合物で同期バースト数の増加および同期バースト間隔の減少が認められず、痙攣リスクの評価パラメータとして十分ではないことが判明した。これは、同期バーストを検出できていなかったり誤って認識していたりしたこと、および評価パラメータ数が不足していたことが原因と考え、より正確に同期バーストを検出する方法として同期バースト検出のアルゴリズム(4-step method)を開発した。また、同期バーストについては周期性にも着目した新しいパラメータセットを構築した。4-step methodにより同期バースト検出を行い、周期性も含めた10個の評価パラメータを用いた主成分解析を行い、薬物の痙攣誘発作用検出に有効なパラメータセットの同定を試みたので報告する。