日本毒性学会学術年会
第45回日本毒性学会学術年会
セッションID: S23-1
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シンポジウム23
遺伝毒性評価の新たな動き
*本間 正充
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抄録

遺伝毒性試験国際ワークショップ(IWGT)は産官学の遺伝毒性試験に係わる研究者が、遺伝毒性試験の開発、改良、評価、及び試験結果の解釈やリスク評価への適用等を議論する国際学会である。IWGTでの議論の結果は学術雑誌であるMutation Research に特集号として掲載される他、ICH、OECD等の国際ガイドライン策定に大きな影響を与える。従ってIWGTはレギュラトリーサイエンスの実践の場とも言える。通常、IWGTは4年に1度開催される国際環境変異原学会(ICEM)と同時期に開催され、今回の第7回IWGTは2017年11月に韓国・仁川で開催されたICEMのサテライト会議として11月8-10日、東京・築地の国立がんセンターで開催された。世界17カ国から約140名の研究者が以下のテーマのワーキンググループに分かれて議論を行った。

1. Ames試験の見直し

2. 3D遺伝毒性試験モデル

3. 新規in vitro哺乳類細胞遺伝子突然変異試験

4. 異数性誘発物質のリスクアセスメント

5. In vivo遺伝毒性試験の戦略

本シンポジウムではこの第7回IWGTで議論された遺伝毒性試験の新たな潮流について各演者が話す。

遺伝毒性試験の別の潮流としてインシリコ手法の発展がある。これは、ICH-M7ガイドラインの策定に刺激されたことが大きいが、今後さらに加速するIT社会や、動物実験削減の潮流を考えるとその流れは当然と言える。これまで毒性学は生物学的試験結果のみに主眼が置かれ、化学構造を基本とした物理化学的性質は無視されてきた。医薬品の薬理作用はその化学構造に100%依存することは自明であり、毒性も化学構造によって決定されるはずである。近い将来、毒性学は生物学から化学へと大きく転換すると考える。その先鞭をつけるのは遺伝毒性である。

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