日本毒性学会学術年会
第46回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-102
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ポスターセッション
酸化亜鉛ナノマテリアルの抗原経皮感作への効果及び急性毒性における粒子径の影響
*安達 玲子為広 紀正木村 美恵曺 永晩水田 保子小川 久美子近藤 一成
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抄録

【目的】ナノ酸化チタンやナノ酸化亜鉛は多くの日焼け止め製品に配合されておりヒト皮膚と接触する頻度が高い。我々はこれまでにナノ酸化チタンがマウスの抗原経皮感作系で免疫応答を増強し、粒子径が小さいほどその効果が大きいことを発表した。そこで今回はナノ酸化亜鉛に関して検討を行った。【方法】酸化亜鉛は平均一次粒子径25, 35, 80nmの3種(A、B、Cとする)を用いた。経皮感作では、BALB/cマウスの背部皮膚にモデル抗原である卵白アルブミン(OVA)と酸化亜鉛の混合懸濁液を貼付した(OVA:1-2μg /回、酸化亜鉛:12.5ng-1.25mg /回、3日間連続貼付/週×4週)。経時的に採血しOVA特異的抗体の産生を確認した。感作終了後にOVA1mgを腹腔内(i.p.)投与してアレルギー反応を惹起し直腸温測定等を行った。i.p.感作では、BALB/cマウスにOVA 20μgと酸化亜鉛(2, 10mg)の混合懸濁液を2週間間隔で2回i.p.投与した。感作後に採血しOVA特異的抗体の産生を確認した。急性毒性試験では、酸化亜鉛10mgをi.p.投与した。3, 6時間後に体温を測定し、血液生化学検査、病理組織学的検査を実施した。【結果及び考察】経皮感作では、Aを12.5ng-1.25μg添加した群のみにおいて免疫応答が増強される傾向が見られた。i.p.感作では、A, B, Cとも感作を増強したが、一部のマウスで急性毒性が見られ、粒子径が小さいほど毒性が強かった。そこでi.p.投与による急性毒性試験を行った。体温低下ではA, B, Cで顕著な差はなかったが、血液生化学検査では尿素窒素、ALT、グルコース、ナトリウムでA, B投与群での変動がC投与群よりも大きかった。これらの結果から、ナノ酸化亜鉛の生体影響はその粒子径に依存する可能性が示された。なお組織病理像に関しては現在解析中である。

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