【目的】本研究は、改変コリン欠乏メチオニン低減アミノ酸(mCDAA)食をマウスに7カ月間負荷することにより誘発された非アルコール性脂肪肝炎(NASH)様病態に対する、ラカンカ抽出物の影響について検討した。
【方法】実験は、6週齢の雄性C57BL/6J系マウス(1群6匹)に、mCDAA食(A16032902、Research Diets)または基礎食(CE-2、日本クレア(株))を7カ月間給餌し、同時期にラカンカ抽出物(三栄源エフ・エフ・アイ(株))を0・0.2・0.6・2.0%の濃度で純水に溶解し混水投与した。飼育期間中、一般状態観察ならびに体重・摂餌量・摂水量の測定を行った。解剖時には、麻酔下で腹大動脈より採血した後に放血殺し、速やかに肝臓を採取して重量を測定後、一部を凍結保存し、残りを10%中性緩衝ホルマリン液にて固定して、病理組織学的ならびに分子生物学的解析を行った。
【結果】体重においては、基礎食群とmCDAA食+純水群で差がなかったが、mCDAA+2%ラカンカ群で体重の増加傾向がみられた。血漿中ALT・AST活性は、基礎食と比較しmCDAA食群で上昇したが、ラカンカ抽出物による影響がなかった。病理組織学的検査において、mCDAA食群では、脂肪化、線維化およびα–SMA陽性を示す星細胞の活性化がみられた。肝脂肪化については、mCDAA食群において0.2%および2%のラカンカで増強がみられた。肝線維化および星細胞活性化については、mCDAA食群において、ラカンカの投与濃度に依存した程度の減弱がみられた。現在、肝線維化関連の遺伝子発現解析を進めている。
【結論】以上の結果より、ラカンカ抽出物は、mCDAA食によってマウスに引き起こされる肝線維化に対し、抑制作用を有する可能性が示唆された。