日本毒性学会学術年会
第46回日本毒性学会学術年会
セッションID: S18-5
会議情報

シンポジウム 18
マウス外生殖器組織スライス器官培養系からみえてきたアンドロゲン依存性の器官形成メカニズム
*鈴木 堅太郎
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

 器官形成過程における外生殖器発生は、アンドロゲン依存性の高い形成過程である。よってアンドロゲンシグナルの破綻は、様々な外生殖器の先天性形成異常を引き起こす。特に胎生期の尿道形成過程は、アンドロゲンの感受性が高く、化学物質の毒性評価をする上で有用であると考えられる。我々は、マウス尿道形成過程をモデルとしてアンドロゲンの作用メカニズムを理解するため、簡便かつ効率的なアプローチが可能なin vitro組織スライス器官培養系を樹立した。これまでの研究から、アンドロゲンは、ある特定の間葉細胞の細胞増殖を抑制的に制御すること、細胞骨格を介して細胞移動を制御すること、またライブイメージング解析から、オスの間葉細胞は、アンドロゲン依存的にオス特有の細胞挙動(細胞移動速度、細胞移動距離、細胞移動方向)を示すこと、細胞移動にはアクトミオシンによる力学的制御が不可欠であることを明らかにしてきた。さらに、本法は、尿道形成過程におけるアンドロゲンの標的遺伝子として同定したMafb(V-maf musculoaponeurotic fibrosarcoma oncogene homolog B)の発現誘導を指標に、組織のアンドロゲン応答性を経時的にモニターすることが可能である。

 本シンポジウムでは、マウス尿道形成過程をモデルとしてわかってきたアンドロゲン依存性の器官形成メカニズム、さらに、抗アンドロゲン作用のスクーリーニングに向けた新たな評価系について論議したい。

著者関連情報
© 2019 日本毒性学会
前の記事 次の記事
feedback
Top