日本毒性学会学術年会
第46回日本毒性学会学術年会
セッションID: S25-5
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シンポジウム 25
-中枢神経毒性-
*坪内 義山田 徹宮脇 出
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抄録

医薬品開発化合物の中枢神経系に対する毒性は通常、安全性薬理試験におけるIrwin変法やFOB(functional observation battery)、一般毒性試験における一般状態変化や脳病理組織学的変化により同定され、それらを基にヒトでのリスク及びそのマネージメントが考察される。非臨床安全性試験で確認された中枢神経毒性のヒト予測性には様々な報告がなされているが、課題も数多く指摘されており、注意を要する。

今回、文献報告をもとに、医薬品(開発化合物)の中枢神経毒性に関する非臨床安全性試験成績と臨床副作用報告との予測性(一致性)をまとめ、報告する。ヒト予測性が低い、あるいは動物種差が確認される中枢神経毒性(頭痛、めまい、疲労、痙攣など)は各所見ごとに、その安全性評価上の注意点を紹介する。適切な動物種の選択、非臨床安全性試験における複数評価項目の総合的考察、フォローアップ試験などを考慮することにより、非臨床安全性試験における中枢神経毒性のヒト予測性の向上が期待される。一方で、頭痛などの中枢神経系の臨床副作用予測や、様々な背景(疾患、年齢、併用薬、家族性など)を有した患者からの低頻度で生じる副作用に対しては、通常の非臨床安全性試験パッケージからではその予測性に限界がある。

今後、脳波テレメトリー解析、(患者由来の)iPS由来神経細胞やイメージング技術を用いた中枢神経毒性評価の進展、コンソーシアム活動やビッグデータ活用を通じたさらなる外挿性研究から、動物種差を打破する新しいアプローチが期待されるが、本シンポジウムを通じて中枢神経毒性のヒト予測性について活発に議論したい。

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© 2019 日本毒性学会
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