国際生命科学研究機構(International Life Sciences Institute、ILSI)は、1978年にアメリカで設立された非営利団体であり、健康・栄養・安全・環境に関連する科学研究の実施・支援を行い、その成果は学術シンポジウムや出版物を通じて、全世界に発信されている。会員数は全世界で513社(2016年度)にも及び、16の独立した支部が世界規模で活動している。特定非営利活動法人国際生命科学研究機構(ILSI Japan)は、その日本支部として1981年に設立され、69の個人および団体(2018年4月現在)が参画し、早くから食品安全を主要な活動の柱の一つに位置づけ、アカデミアとの連携のもとに活発な活動を行っている。
現在、ILSI Japanでは、食品リスクアセスメントの領域においては二つの大きな課題に取り組んでいる。一つは、超高齢化社会を迎える日本にあって、食品の安全性評価の考え方に新たに検討すべきことがあるか、高齢者の医薬品使用における安全性の考え方等を参考に、項目の洗い出しを進めている。もう一つは、主に動物に依存した従来の安全性評価手法に替わり、人に対する予見性がより高い評価手法への転換の必要性が求められる中、食品領域においても活動を推進するもので、ILSI Europeとの連携も視野に入れた議論をスタートさせた。活動は始まったばかりであるが、より安全な食への貢献を目指したILSI Japanの最近の取り組みを紹介する。