医薬品開発において,安全性面で優れた化合物を見出すためのスクリーニング手法としてin vitroの評価系が用いられてきた.近年,初期スクリーニングのみならず,種差を含む毒性メカニズム解析等,創薬の幅広いステージで利用可能なin vitro評価系の構築が求められている.我々は開発中止の原因になりやすい肝毒性および心毒性を中心に,安全性に優れた化合物を選択するために種々のin vitro毒性評価系の有用性を検討している.そのうち,ヒト肝細胞を用いた胆汁酸トランスポート阻害リスクを評価するin vitroアッセイ系は,既知化合物を用いた評価試験において胆汁うっ滞性肝障害に対して良好な予測性を示した.本演題では,ラット 2 週間反復投与毒性試験において総ビリルビン(T-Bil)と直接ビリルビン(D-Bil)の上昇を伴う肝障害が認められたが,サル2 週間反復投与毒性試験においては肝障害が認められなかった社内化合物Xの事例を取り上げ,化合物Xのラット,サルあるいはヒト肝細胞を用いた胆汁酸トランスポート阻害試験の結果や検討中の課題について紹介する.