日本毒性学会学術年会
第46回日本毒性学会学術年会
セッションID: S5-2
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シンポジウム 5
探索ステージにおける毒性機序解析に基づく種差検討事例
*清水 俊敦
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抄録

 医薬品の探索ステージでの安全性試験において,十分な安全域が確保できない用量から毒性変化が認められた場合,開発候補化合物の進退判断を的確に行うためには,その毒性の発現機序を明らかにし,ヒトと当該試験動物種との差異や臨床におけるリスク管理の要否を論理立てて説明する必要がある.

 このプロセスは,(1)毒性発現機序を明らかにすること,(2)ヒトや他動物種との種差を考察し検証することの2点を達成する必要があるため,種特異的な代謝物生成や薬物の高曝露等,薬物動態的な種差要因で説明が可能な場合,また,すでに種差が公知となっている一部の機序に該当する場合などを除き,ヒトへの外挿性を的確に判断することは一般的に難しい.当社では(1)については,病理組織学的検査や血液学・血液生化学的検査等の標準的な試験項目に加え,オミクス解析に代表される分子毒性学的な手法で原因となる生物学的機能・パスウェイを明確化する取り組みを行っている.また,(2)についてはin vitro細胞評価系やin silicoモデリング&シミュレーション等の先端的な手法を用いた比較を検討しているが,いずれも課題が多いのが実情である.

 本演題では,毒性機序解析に基づく種差検討の考え方について整理するとともに,当社における代表的な解析事例について紹介したい.

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