日本毒性学会学術年会
第46回日本毒性学会学術年会
セッションID: W6-2
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ワークショップ 6
実験動物の尿検査及び血液学的検査 形態検査の重要性
*松山 恵吾上野 元伸
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抄録

医薬品の製造販売承認のための非臨床安全性評価の一種である一般毒性試験では,開発候補化合物を実験動物に投与し,毒性変化を惹起する用量とその毒性変化の内容,及び毒性変化の認められない用量を求めることを実施目的としている.開発候補化合物が生体にどのような負の影響を及ぼすのかを正確にプロファイリングするために様々なエンドポイントを設定しており,その中に尿検査及び血液学的検査がある.いずれの検査でも主に自動測定装置から得られる定量値を基に,開発候補化合物が腎臓や各種血球の数や大きさに与える影響について検証している.

本発表では,尿検査及び血液学的検査にて得られるデータの一つである尿沈渣及び末梢血・骨髄塗抹標本の観察結果から得られる知見に着目し,観察内容の紹介と共に,尿沈渣中に開発候補化合物由来の結晶が発見され,腎障害発現との関連が明らかとなった事例や,反復毒性試験において投与期間終盤の血液学的検査において赤血球系減少が顕在化した際に,投与初期から小型赤血球の産生が確認されていた事例等を紹介する.このようなデータは,毒性変化の内容を正確に把握するために重要なだけではなく,なぜその毒性変化に至ったのか解析する際に有用な知見をもたらし,時に臨床試験における安全性バイオマーカーとしても有益である可能性がある.以上の事例紹介を通して,尿検査及び血液検査における形態検査の重要性について私見を述べる.

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© 2019 日本毒性学会
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