主催: 日本毒性学会
会議名: 第47回日本毒性学会学術年会
開催日: 2020 -
【背景・目的】
カニクイザルを用いた毒性試験において、体重、血液学的及び血液生化学的検査の項目間の関連性は経験的に知られているものはあるが、その報告例は少ない。我々は以前、対照群ながら体重減少が認められる個体の発現率や、それら個体の血液学的、血液生化学的及び病理組織学的特徴を報告した(第46回日本毒性学会学術年会)。本研究ではそれら個体に加え、試験期間中に体重が正常に推移するサルを含めて体重及び体重変動率と血液学的及び血液生化学的検査の各項目の関連性について解析した。
【方法】
4週間反復投与試験の対照群に供された3から6歳齢、雌雄各95例のカニクイザルについて、投与期間終了時点の体重、試験期間中の体重変動率、投与期間最終週での血液学的及び血液生化学的検査結果について、Pearsonの積率相関係数あるいはSpearmanの順位相関係数を用いて網羅的に統計学的解析を行った。
【結果】
体重と血清クレアチニン値には統計学的に有意な正の相関が認められ、相関の程度は雌より雄のほうが強かった。体重変動率とアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(ASAT)及びアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALAT)値には有意な負の相関がみられた。血清クレアチニン値と電解質(Na、K、Cl)の間には有意な正の相関が認められた。本研究により、体重及び体重変動率と血液学的及び血液生化学的検査の各項目の関連性の有無及び傾向が明らかとなった。本発表では、これら関連性の持つ意味についても報告する予定である。