日本毒性学会学術年会
第47回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-173
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ミフェプリストン処置ラットにおけるエストロゲン優位による血液希釈が血液学的検査結果に及ぼす影響
*高倉 郁朗岸田 知行小林 翔平梶野 雅起沓掛 貴矢丸山 喜正高橋 哲明西山 千鶴宮島 大和横井 亮平相馬 晋司
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抄録

【背景】毒性試験において,造血組織に病理組織学的所見を伴わない,性差を伴った赤血球パラメータの低下が認められる場合がある。低下が軽度な場合,毒性学的意義は乏しいと判断されることが多く,発生機序の解明まで至らない。一方,げっ歯類とヒトに共通してエストロゲン処置により,循環血漿量が増加することが知られている。本研究では,雌性ラットにおいて,プロゲステロン受容体拮抗剤であるミフェプリストンを反復経口投与し,機能的なエストロゲン優位状態から循環血漿量が増加し,血液希釈により赤血球パラメータの低下を引き起こす可能性について検討した。

【方法】雌性Wistarラットにミフェプリストン(100 mg/kg/day)を4週間反復経口投与し,血液学的検査,循環血液量及び循環血漿量を測定した。投与1日目,投与2及び3週目の4ポイント(投与前,投与後2,4及び8時間)並びに投与4週目の1ポイント(投与後8時間)に採血し,血液学的検査を実施した。また,最終投与後にエバンスブルーを静脈内投与し,5分後に採取した血液から循環血液量及び循環血漿量を測定した。

【結果・考察】ミフェプリストン投与群では,赤血球数,ヘモグロビン及びヘマトクリットが投与2週目以降,媒体対照群に比して低値を示し,投与2週目に最大8.5%低下した。4週間反復投与時の循環血液量及び循環血漿量は,媒体対照群に比して,増加あるいは増加傾向が認められた。これらの変化は,ミフェプリストンの主薬効によるエストロゲン/プロゲステロン比の変化に起因すると推察された。さらに,赤血球パラメータの低下が最大となった2週間反復投与時の血液学的検査,エストロゲン及びプロゲステロン値並びに摂水量及び尿検査結果をあわせて評価し,プロゲステロンに対してエストロゲン優位による循環血漿量増加の結果として血液希釈による赤血球パラメータへの影響について報告する。

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