日本毒性学会学術年会
第47回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-70S
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気道過敏性関連遺伝子のヒト気管及び肺における発現個体差
*近藤 彩乃秋山 希長 奈都美三浦 伸彦河村 伊久雄森 葉子永井 萌子礒部 隆史大河原 晋埴岡 伸光神野 透人香川(田中) 聡子
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抄録

【目的】シックハウス症候群の発症や症状の程度には顕著な個人差が認められることが指摘されているが、 そのメカニズムは解明されていない。我々はこれまでに、多様な生体反応や病態に関わる侵害刺激受容体Transient Receptor Potential (TRP) Channelsに着目し、TRPA1が、室内環境中に存在する様々な化学物質によって活性化されること、さらにヒト気道および肺組織における発現量に顕著な個体差が認められることを明らかにした。本研究では、シックハウス症候群におけるヒト個体差のメカニズムを明らかにする目的で、気道過敏性及び喘息に関与することが知られているADAM33をはじめとする遺伝子のヒト気管及び肺組織における発現レベルを検討した。

【方法】正常ヒト気管組織由来total RNAおよび正常ヒト肺組織由来total RNA(それぞれ10 Donors)をBioChain社より購入し、cDNAを合成したのち、気道過敏性関連遺伝子について,その発現量を標的遺伝子検出用FAM標識TaqMan MGB Probeと内在性コントロール遺伝子(β-actin、GAPDH)検出用VIC標識TaqMan MGB Probeを用いるduplex real-time PCR法により定量し, 比較Ct法により解析した。

【結果と考察】今回評価した8遺伝子のうち、気道過敏性および気管支喘息関連遺伝子として最初に報告されたADAM33遺伝子については、気管組織での顕著な個体差は認められなかったが、MMP9、GPR99(OXGR1)発現レベルについては気管及び肺組織中で顕著な個体差が認められた。シックハウス症候群における個体差を説明する要因の一つとして、これらの因子が重要な役割を果たしている可能性が考えられる。

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