日本毒性学会学術年会
第47回日本毒性学会学術年会
セッションID: S7-3
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シンポジウム7
ゲノム編集マウス作製のリスクとベネフィット
*伊川 正人
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抄録

CRISPR/Cas9ゲノム編集システムの登場により、遺伝子破壊マウスの作製がコスト、労力、期間などの点において大きく改善した。本講演では、主に同法を活用し、我々の研究室で行っている精巣特異的に発現する遺伝子群の遺伝子破壊 (KO) マウス作製と表現型解析について報告する。我々は、文献およびデータベース検索から、ヒトとマウスで保存されており、精巣特異的に発現する遺伝子を約1,000個リストアップした。従来法およびCRISPR/Cas9法により遺伝子KOマウスを作製したところ、妊孕性を調べた272遺伝子の内、約7割に相当する168遺伝子のKOマウスでは外見上の異常も顕著な妊孕性の低下も認められなかった。これらの結果は、遺伝子の発現様式だけでは、個体レベルでの遺伝子機能やその重要度が分からないことを示している。その一方で、精子カルシニューリンなど、精子受精能力に必須な103遺伝子を新たに見つけることができた。言い換えれば、ゲノム編集技術を活用すれば、個体レベルで重要な遺伝子を先に選び出して研究を進められることから、費用や労力・時間に対して得られる成果が大幅に改善され、生物学研究に躍進をもたらすと言える。本講演では、CRISPR/Cas9を用いたゲノム編集マウスの作製と解析について、そのリスクとベネフィットについて議論したい。

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