日本毒性学会学術年会
第48回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-118
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ポスターセッション
Caco-2細胞に取り込まれたポリスチレン粒子のリソソーム機能への影響評価
*中川 博史西村 和彦
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抄録

【目的】直径0.1 µm程度のポリスチレン粒子は、経口摂取されると一部は消化管粘膜細胞のリソソームに蓄積する。ポリスチレン粒子の蓄積がリソソームの機能であるオートファゴソームおよび後期エンドソームの分解にどのような影響を与えるか不明である。リソソーム膜透過性亢進(LMP)はリソソームの機能障害の一因である。本研究ではLMPの検出にGalectinタンパクのリソソーム腔内への集積を利用した観察を行い、ポリスチレン粒子の蓄積がリソソーム機能障害を起こすのか評価した。

【方法】ヒト結腸癌由来細胞株Caco-2細胞を用い、200 µg/mlの表面未修飾又はアミノ基修飾のされた直径0.1 µmの蛍光ポリスチレンビーズを24時間処置した。リソソームへのGalectinタンパクの集積はmAzamiGreen-Galectin3発現プラスミドを導入して観察した。オートファジーはMDC染色およびLC3ウエスタンブロットで検出した。後期エンドソームはCD63抗体免疫蛍光染色にて観察した。

【結果と考察】ポリスチレン粒子の取り込みはGalectin-3タンパクのリソソームへの集積を起こした。ポリスチレン粒子の取り込みによりMDC陽性オートリソソームのサイズの増大と数の増加が見られ、LC-3IIタンパクも増加した。またタンパク分解酵素を抑制するクロロキンの併用処置時のLC-3IIタンパク量に対照群との差が見られなかったことから、ポリスチレン粒子の取り込みによりオートファゴソーム分解の抑制が生じていることが示唆された。加えて後期エンドソームについてもサイズの増大と数の増加が認められた。LMPを誘導し、オートファゴソームや後期エンドソームの分解抑制を惹起することから、ポリスチレン粒子がリソソーム機能障害を起こすことが示唆された。

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