日本毒性学会学術年会
第48回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-127
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ポスターセッション
ジヒドロピラジンによる細胞毒性の分子機構解明:終末糖化産物受容体の寄与
*宮内 優澤井 円香石田 卓巳寒水 壽朗武知 進士
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抄録

【背景・目的】 終末糖化産物をはじめとする糖化産物は、がんや糖尿病、アルツハイマー病といった炎症性疾患に関与することが知られている。当研究室では、その詳細な機構を解明するため、糖化産物の一つであるジヒドロピラジン類に注目し検討を行ってきた。その結果、ジヒドロピラジン類の一つである3-hydro-2,2,5,6-tetramethylpyrazine (DHP-3) が、レッドックスバランスの崩壊を伴って細胞障害性を示すことを明らかにした。さらに、最近、DHP-3が、リポポリサッカライドにより惹起される炎症反応に対しTLR4経路を抑制することで抗炎症作用を示すことを見出している [1]。一つの分子であるDHP-3が、細胞障害性と抗炎症作用を有することは非常に興味深いが、その機構については未解明な点も多い。そこで、本研究では、DHP-3による細胞影響の機構解明に向けて、終末糖化産物の結合により細胞内で炎症シグナルを引き起こす終末糖化産物受容体 (RAGE)発現細胞の構築を試みた。

【方法】 エピソーマルベクターであるpEBMulti-HygにRAGEのORFをサブクローニングし、HeLa細胞にトランスフェクションした。RAGEの発現は、イムノブロットにより確認した。また、トランスフェクション後のHeLa細胞をhygromycinで選択培養することにより、RAGEの安定発現系を構築した。

【結果・考察】 イムノブロットにより、ライセート中にRAGEが検出された。また、トランスフェクション後の細胞を、hygromycinを含んだ培地で培養することで、RAGEを安定的に発現するものだけを選択・維持することができた。今後はこのRAGE安定発現系を用いて、DHP-3による細胞毒性および抗炎症作用を精査する。

[1] Esaki et al., J. Toxicol. Sci., (2020)

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© 2021 日本毒性学会
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