中枢神経疾患はアンメット・メディカルニーズが高いことが知られているが、それら疾患に対する新薬候補化合物は、薬理作用の延長でヒトにおいて薬剤性痙攣を誘発する可能性を持つ。痙攣は医薬品の重篤な副作用の一つであるため、新薬候補化合物の痙攣リスクを臨床試験前に確実に評価することは、安全性の高い医薬品を創出する上で重要である。
近年では国内外において、ヒトiPS細胞由来の神経細胞を用いたin vitro痙攣リスク評価系の活躍が際立つが、代謝物による痙攣の有無、痙攣時の血液中薬物濃度、さらには痙攣の前駆症状の確認などは、動物実験で精査することになる。しかし一方で、痙攣の発現には種差があることが知られており、また、理想的な安全性バイオマーカーがないことから、動物実験の結果からヒトでの痙攣リスクを評価する際には依然として課題が残る。
このような動物実験における痙攣評価の課題を解決すべく、ヒトで痙攣を誘発することが知られている複数の医薬品を用いて、マウス・ラット・サルにおける痙攣への感受性、および痙攣時の血液中薬物濃度を比較した。
本発表では、上記検討結果の詳細と、それらを踏まえた臨床試験前における痙攣スクリーニングフローの例を紹介したい。