日本毒性学会学術年会
第49回日本毒性学会学術年会
セッションID: O-40
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一般口演
cfDNAによる毒性評価
*小野 竜一山本 雄介成瀬 美衣田邊 思帆里吉岡 祐亮相崎 健一広瀬 明彦落谷 孝広平林 容子北嶋 聡
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抄録

血液中には、cell free DNA (cfDNA) が存在する。cfDNA は、血液細胞などの死滅などにも由来するため、健常者にも存在している一方、がん患者の血液中にはがん細胞より遊離したがん関連遺伝子に変異を持つ ctDNA (circulating tumor DNA) が存在し、がん関連遺伝子の変異を発がんのバイオマーカーとしたリキッドバイオプシーの開発も進められている。

体内においては、各種臓器に特異的な DNA メチル化部位が存在していることから、特定の臓器が障害を受けた場合に、その臓器に特異的な DNA メチル化を持った cfDNA が血液中に漏れ出てくると想定される。そこで、本研究では、肝障害のモデル物質として、四塩化炭素を経口投与した雄性 C57BL/6J マウスの血液において、肝臓特異的なDNAメチル化を持つcfDNAを肝障害特異的なバイオマーカーとした新たな毒性評価法の検討を行った。

四塩化炭素 (70mg/kg) の単回投与により肝障害を起こしたマウスの血液より単離した cfDNA の DNA メチル化は、肝臓特異的なメチル化パターンとなっており、cfDNA のDNAメチル化は、高感度な毒性バイオマーカーとして利用が可能であることが明らかになった。 cfDNA の DNA メチル化をバイオマーカーとしたリキッドバイオプシーは、薬物等の非臨床における迅速な安全性評価に貢献できると考えられる。

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