日本毒性学会学術年会
第49回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-216
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フェレットを用いたテレメトリ試験(Best Practice Considerations for In Vivo Studies対応)
*伊藤 昭人勝 尚子黄瀬 貴山本 真史長尾 友子木村 恵人
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抄録

【目的】近年、コロナウィルス感染拡大の影響によってサル及びイヌの供給に問題が生じている。今回、我々は安全性薬理試験の一環として、フェレットを用いた心血管系の評価が可能であるか検討した。なお、試験は陽性対照薬としてモキシフロキサシンを用いて、 [Best Practice Considerations for In Vivo Studies]のQ&Aに沿って実施した。

【結果】フェレット心電図において、QT及びRR間隔は強い正の相関を示した(r=0.930)。心拍数を300bpmに仮定した各種QT補正式に当てはめると、Bazettの補正式では過補正(傾き:-0.092)となり、Fridericiaの補正式は概ね良好であった(傾き:-0.019)。さらに個体別補正式では、傾きは0.001に補正された。血中濃度と⊿⊿QTciにも正の相関(r=0.735)が認められ、モキシフロキサシンのQT延長作用が確認された。

【考察】フェレットは1.5kg前後の大きさで、ヒトへ馴れやすく、ペットとして一般家庭でも飼育されている。一方でインフルエンザやCOVID-19ワクチンの開発に使用されるなど、ヒトとの交差性も高く有用な実験動物である。今回、フェレットを用いてテレメトリ法によるQT延長作用を‘Best Practice Considerations for In Vivo Studies’のQ&Aに沿って評価できたことは、動物種の選択肢を広げ、また被験物質の節約にも繋がる有意義な結果であった。

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