主催: 日本毒性学会
会議名: 第49回日本毒性学会学術年会
開催日: 2022/06/30 - 2022/07/02
ヒトiPS 細胞の技術開発により、今まで入手が困難だったヒト細胞のin vitro試験系として大きな期待が寄せられている。特に、ヒトiPS細胞由来分化細胞を用いてヒトにおける安全性の予測性をさらに高めることができれば、医薬品開発の効率化やコスト削減、被験者の安全性確保など創薬プロセスの変革が実現できることが期待される。
ヒト iPS 細胞を用いた安全性評価には、産官学が連携して一体となって評価法を開発して、国際的なバリデーションを行うことが重要である。我々は大型予算のもとバリデーション研究を推進することにより、ヒトiPS細胞由来心筋細胞は薬剤による再分極の遅延や催不整脈リスクを評価可能であることを明らかにして、FDAを中心とするCiPAなどと国際協調のもと新たな安全性評価法を確立した。特に、「目的に適った」分化細胞を用いた標準的なベストプラクティスを作成した。このベストプラクティスにより医薬品の安全性薬理評価においてヒトiPS細胞由来心筋細胞の利用が促進され、ICH E14/S7B Q&Aの議論に役立つことが期待される。
本シンポジウムでは、ヒトiPS細胞を用いた新しい心臓安全性評価法の開発と国際標準化を行う「レギュラトリーサイエンス」の研究事例として紹介し、cardio oncologyやAIモデルなどの展望を議論したい。