主催: 日本毒性学会
会議名: 第50回日本毒性学会学術年会
開催日: 2023/06/19 - 2023/06/21
有害化学物質への発達期曝露が認知機能の発達に影響を及ぼすことが報告されている。神経発達障害モデルマウスにおいて仔マウスが母マウスに対して示すコミュニケーション指標である超音波発声(USV)に異常が起こることが報告されており、我々のこれまでのダイオキシン類の曝露影響評価研究から、有害化学物質の発達神経毒性の評価として有用であることが示唆されている。本研究では2-chloro-3, 7, 8-tribromodibenzofuran (TeXDF)あるいは1, 2, 3, 7, 8-pentabromodibenzofuran (PeBDF) を胎仔期・授乳期曝露がUSVに及ぼす影響を検討した。妊娠 12.5 日目にTeXDF (8 あるいは 40 µg/kg 体重)を投与された母体から生まれた仔のUSVを評価した結果、40 µg/kg 体重曝露群において出生後 3~9 日目における USVの発声時間および発声回数が対照群と比較して有意に低かった。一方、PeBDF(35あるいは175μg/kg体重)を投与された母体から生まれた仔のUSVは影響が認められなかった。発達期曝露が成体での行動障害につながるかどうかを検討するため、全自動試験装置であるインテリケージを用いて、新規環境での探索行動を解析したが、TeXDFとPeBDFのいずれにおいても、有意な差は認められなかった。インテリケージで解析可能な他の行動影響評価指標に関しては現在検討を加えているところである。