日本毒性学会学術年会
第50回日本毒性学会学術年会
セッションID: S10-5
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シンポジウム10: 製薬業界におけるDXの実践~毒性研究/非臨床領域編
バイオバンクジャパンデータを利用した薬剤の副作用につながるリスク因子の探索
*鮫島 知哉山中 一徳小井土 大原 秀人長谷川 みゆき成井 信博阪口 元伸松田 浩一鎌谷 洋一郎篠澤 忠紘
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抄録

臨床におけるヒトでの有害事象を前臨床試験において予測することは、創薬研究における最も重要な課題のひとつである。医薬品の有害事象は化合物の特性だけではなく、使用する患者の遺伝的、環境的背景にも左右される。そのため、前臨床試験で毒性が見いだせなかった場合でも、安全性の問題で臨床試験や市販後において安全対策を講じることがある。特定の副作用発現につながる患者のリスク因子を探索することが出来れば、このリスク因子を指標としてリスク集団の特定が可能となり、より迅速な安全対策の立案・実施に繋がることが期待される。また、リスク因子を取り入れた前臨床試験系を構築することで、安全性に対する懸念の少ない薬剤を臨床試験前に選別することが可能となる。このような患者が有するリスク因子を探索するためには、実際に医薬品が使用されている現場の臨床情報、すなわちリアルワールドデータを活用することが有望なアプローチである。この目的のため、我々はバイオバンクジャパン(BBJ)のデータを活用することにした。BBJは登録患者数約27万人からなる日本最大級のバイオバンクである。また、既往歴や処方歴などの臨床情報だけではなく、約90万箇所の一塩基多型(SNPs)情報を始めとするゲノム情報にもアクセスできることがBBJの特徴である。本シンポジウムではBBJとの共同研究内容について紹介し、副作用のリスク因子探索におけるバイオバンクデータの利活用の方向性について遺伝学、薬剤疫学の観点から議論したい。

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© 2023 日本毒性学会
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