日本毒性学会学術年会
第50回日本毒性学会学術年会
セッションID: W1-1
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ワークショップ1: 獣医学分野における毒性学教育
獣医学部教育の改革
*石塚 真由美
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抄録

近年、獣医学部では多様な教育改革が行われている。獣医師の職域は多様であり、先進動物医療、人・動物医薬の開発、感染症研究と対策、食の安全の確保、環境・社会・ヒト・動物の一体となった健康医学である保全医学とOne Health、そして動物の福祉など、そのニーズは急激に広がった。2010年には、国際獣疫事務局(OIE)から獣医学教育に関するミニマム・コンピテンシー(案)が公表され、各国の対応が求められている。国内では、2004年に全国大学獣医学関係代表者協議会で合意された「獣医学専門教育課程の標準カリキュラム」は、その後も議論が続けられた。2008年に「獣医学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議」が設置され、コア・カリを含む教育改革について議論された。2011年に獣医学教育モデル・コア・カリキュラム(獣医学コア・カリ)が作成されると、これに合わせていわゆるコア・カリ教科書が発刊され、また、ポリクリの導入と併せてCBT(コンピューターを用いた試験)やOSCE(客観的臨床能力試験)が開始された。コア・カリはその後も議論と更新を続け、2019年には統合型の新たなコア・カリ キュラムが作成された。毒性学のモデル・コア・カリでは「化学物質が,人や動物そして環境に及ぼす有害作用を明らかにし,その防止における獣医師の役割を理解する。化学物質の生体での有害作用と体内動態及び毒性発現のメカニズム,地域・地球規模での化学物質の動態や環境への影響について学び,毒性学における網羅性の重要さを理解するとともに,リスク解析や規制方法を理解する」とされ、One Healthを意識した全体目標を設定している。ここでは獣医学教育のこれまでの改革の概要を紹介したい。

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