日本毒性学会学術年会
第51回日本毒性学会学術年会
セッションID: S16-4
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シンポジウム16: 核酸医薬品開発における安全性評価の課題と取り組み
核酸医薬品開発におけるin vitro/vivo痙攣評価の予備検討
*塩谷 元宏宮本 憲優深海 和樹小田原 あおい上野 孝哉古谷 嘉章永山 裕子
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抄録

中枢神経疾患に対するアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)薬の開発において,動物を用いた非臨床評価で非特異的な急性中枢神経系(CNS)毒性が知られているが,それらの試験は投与手技の難しさから臨床投与経路と異なる投与経路で検討することが多い。将来的に新規ASO薬の急性CNS毒性を評価することを想定した際に,投与経路の違いによる毒性発現の差を事前に確認することが必要と考え,マウスへの脳室内(ICV)投与時に痙攣誘発が報告されているASOをラットにICVまたは腰部髄腔内(IT)投与し,痙攣誘発の投与量と痙攣時の脳内ASO濃度を比較する予備実験を行った。また,in vivo試験で急性CNS毒性を示すASOがin vitro試験では初代培養ラット大脳皮質神経細胞の活動を抑制するという報告があるため,ラットの初代培養大脳皮質神経細胞を用いて微小電極アレイ(MEA)による電気生理学的評価(処置濃度:3, 30 及び300 μM)も合わせて検討した。その結果,in vivo試験ではICV投与の600 μg/head以上で痙攣が認められ,IT投与では最大2400 μg/headにおいても痙攣は認められなかったものの,脳内ASO濃度が各々41-150 μg/g brain,24 μg/g brainであったことから,脳内濃度の差が痙攣の発現に大きく影響したものと考えられた。In vitro MEA評価では,3 μMの処置直後では神経発火抑制があり,30 μM以上の処置濃度で神経発火が消失した。ASO処置8日目までの経過観察では,3 μMの低濃度でも神経発火が消失した。

本発表当日は上記結果の詳細を紹介する。

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